短篇ならいくつか読んだし、手をつけた本はいくつもある。大晦日に古本で漫画を5,6冊買って全部読んだが、読了したのは、2日の クリスタルボール
と、この3冊だけか。
あやつられた魂
ステラ・ダフィ
操られた魂
、原題はWavewalker
、1996年。
解説によると、この主人公が探偵として活躍するのは2作目。前編で、作者は ミステリを書いているという意識がなく、むしろ悲劇的なラブストーリーのつもりで書いていた
という。
前作、カレンダー・ガール
も、たぶん読んだことがあるんだよね、まったく憶えていないし、思い出しもしなかったが。だが、それこそがこの小説が古典的な 探偵小説
であるということなんじゃないかな。
べつに、《マット・スカダー》や新本格以降の日本のミステリを否定するわけではなく。だが、古典的な探偵小説というのは、事件が描かれ、事件の中の人間関係を客体として描くものだと思う。
ちかごろの探偵小説しか読んでいない、若い読者には物足りないかもしれない。でも、これが古典の手法だ。
アルケミスト
邦訳では、全6巻予定のシリーズ題名が アルケミスト
(錬金術師) で、一巻の題名が 錬金術師 ニコラ・フラメル
というややこしいことになっている。原題はThe Alchemyst: The Secrets of The Immortal Nicholas Flamel
ファンタジーも、雑学・哲学の体系としての錬金術も好きなのだが、なぜかニコラ・フラメルという名前について知識がすっぽりと欠けていた。(しかも、きっと彼ら夫妻の住んでいた家というのも子供の頃に見たことがあるはずだ) ファンタジーは異世界ものが好きだし、錬金術については微妙に守備範囲がずれていたから、だね。
でも読んで楽しむのに、予備知識の不足はまったく障害にならなかった。主人公ふたりが、インターネットや携帯に慣れ親しんだ現代アメリカのティーンエイジャーだから。少年少女向けとして書かれるファンタジーは、予備知識がなくても楽しめるように書かれるから。
おもしろかった文章を二つ挙げておく。
「礼なんて、止しとくれ。これは贈り物じゃない。呪いだよ!ドーラ p.207
あんた、その人たちの死を悲しんだの?ヘカテの声には、純粋な好奇心がこもっていた。
ええ、ひとり残らず
いまでも悲しい?
毎日、悲しんでますよヘカテは、フラメルの肩に手を置いた。
ならば、ニコラ・フラメル。あんたはまだヒトよ。他人を思いやらなくなったら、あんたはその日からディーのようになる
魔術師
魔術師 ニコロ・マキャベリ アルケミスト2巻
敵として現れる実用的な人間、マキャベリ。味方として現れる、火の魔術の達人サンジェルマン。ともに魅力的な人物だ。
読書日記として書き始めたのは13日だが、このあと19日に旅行をして、栗駒山の空を見て思った。
空気 (Air) の魔術として霧や雲を生み出すシーンがあり、現代科学の観点では水だろう、と不思議に思っていたのだが。山の空で風に巻かれながら雲が散り、また生み出されるのを見た。だから雲を産むのはシルフィードの仕業なのか。そして生まれる雲は、神話の龍そのままの形をしていた。
マキャベリとサンジェルマンの形容に、チェスタートン 木曜の男
に出てくる二人の人物との共通も見出した。
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