手許にないので第何話、第何巻収録だかわからないが、動物のお医者さん
に、カラスの怒りの対象が拡散する話があった。
白衣で眼鏡の教授、漆原氏は永遠のいたずら者。野外ジンギスカンの肉を攫うカラスに復讐を仕掛ける。カラスは怒って仕返しをする。漆原氏はさらにしっぺ返しを続け、カラスの群れはさらに荒れ狂う。
ところが不思議なことに、漆原氏への怒りがあまりに強くなると、カラスは似たように白衣で眼鏡の教授をも攻撃対象とするようになった。抗争が進めば、最後は白衣のものが軒並み狙われる。
おかげで漆原氏の被害は、戦力が拡散したことでむしろ減った。
こんな話だったと思う。カラスはばかなことをすると笑ってほのぼのする、そんなエピソードだ。
だが本当にカラスはばかなのか。
罪を憎んで人を憎まず
という諺がある。
誰かの行いに立腹したとき、たとえば 俺が食事をしているときに横で騒いでいたあの家族は許さん
から ある程度の格式のあるレストランで五月蝿いのは良くないよね
さらに 公共の場ではマナーを守ろう
となり、怒りは拡散し、友人・知人が似たことをしたときに、にこやかにたしなめることができる程度に行動が柔らかくなる。カラスと同じではないだろうか。
怒りやトラウマを、対象となる個人に収めずに、汎化することで法律やマナーが生まれ自らをも律する。それを人は文化と呼ばないだろうか。
怒りを分析して背景となる相手の行動原理を否定することで、個人を怒りの対象から分け、腹の虫を収めることができるだろう。
そうありたいと望む。そうあれかし、と願う。
1 コメント:
twitter に告知したら「『動物のお医者さん』のエピソードがちょっと違うよ」とご指摘いただきました。
ご指摘の記事を貼り付けることで、記事本文の訂正に替えさせていただきます
https://twitter.com/#!/awonajimi/status/105824589258567680
本題と関係ないですが、「動物のお医者さん」でジンギスカンの肉のときは唐辛子でカラスを撃退できたけど人間も辛いというオチでした。
カラスの怒りの対象が広がっていくのは、大学構内にできた巣を撤去したとき。
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